尿中エクソソーム内のmiRNAを捕捉し、がん早期発見検査や創薬研究支援を提供/Craif株式会社

尿中エクソソーム内のmiRNAをナノデバイスで捕捉。機械学習で分析し、がんなどの早期発見へと導く「Craif株式会社」 

―Problem-

増え続けるがんによる死。早期発見によって人々が天寿を全うできる社会へ

今、世界では6人に1人、日本では3人に1人が、がんで亡くなっています。がんは日本人の全死因の第一位であり、将来は2人に1人ががんで亡くなる時代が到来すると言われています。如何にがんを早期発見し治療に繋げられるかが、健康長寿社会実現の鍵と言えるでしょう。

現在、健康診断などによるがん検診はX線、CT検査、血液検査などがありますが、検査によっては痛みを伴ったり、精度が不十分だったりする場合もあり、早期にがんを見つけきれていないのが実情です。また血液中のDNAを測定して遺伝子の変異や異常を検知する検査もありますが、それはあくまでがん細胞の設計図を見ているのであり、実際のがんが、今どういう活動をしているのかを見ているわけではありません。

―Solution―

ナノワイヤを用いた独自のエクソソーム抽出デバイスを用いて、疾患の発症や悪性化に深く関与しているmiRNAを1,300種類以上検出し、その発現パターンを機械学習で解析することで高精度にがんを検出します。

miRNAとは

miRNAは、エクソソームに含まれている疾患の発症や悪性化に深く関与している効果を持つ生体分子です。実は、つい最近までとくに働きがないものだと考えられていたのですが、近年、その働きが明らかになったことで、重要なバイオマーカーとして注目されています。人の体内には2,000以上のmiRNAが存在すると言われていますが、これまでは捕捉することがとても困難な物質でした。

エクソソームとは

エクソソームとは、細胞から分泌される20−200ナノメートルほどのカプセル状の粒(膜小胞体)で、細胞と細胞の間や、血液や尿などの体液中に存在しています。「細胞同士のコミュニケーションツール」としての役割を担っており、疾患の発症や悪性化に深く関与しているmiRNAを包んで、他の細胞にメッセージを発する、いわば、体内におけるEmailのような働きをしている物質です。

―Technology―

エクソソームの大量捕捉を実現するナノデバイス

Craifのコアテクノロジーは酸化亜鉛ナノワイヤを用いた独自のエクソソーム抽出デバイスにあります。エクソソームには核酸やタンパク質などさまざまな生体分子が含まれており、バイオマーカーとして着目を集めています。本デバイスを用いることでエクソソームを高効率に抽出することができ、疾患の発症や悪性化に深く関与しているmiRNAを1,300種類以上検出し、その発現パターンを機械学習で解析することで高精度でがんを検出することに成功しています。本技術を応用することで、わずか一滴の尿から高精度でがんを早期発見する検査や、一人ひとりに最適な治療の選択が可能となる検査を開発し、人々ががんで命を落とすことのない世界を目指します。


2020-10-14



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